<Header>
<Author: 杜甫>
<Title: 登樓>
<Format: 格式不明>
<Year: 1965>
<BookName: 唐詩選　下>
<Translator: 斎藤晌>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 登樓（とうろう）>
<BookPage: 118>
<UsedPage: 1>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
花近高樓傷客心，
萬方多難此登臨。
錦江春色來天地，
玉壘浮雲變古今。
北極朝廷終不改，
西山寇盜莫相侵。
可憐後主還祠廟，
日暮聊爲梁甫吟。
<End Poem>
<Translation>
この高樓の近くには花が咲きみだれているが、それがかえって、さすらいびとわ しの心をいたましめる。天下いたるところ騒亂にわずらわされている今日、自分はここに登って四方を眺めているのだ。錦の川と呼ばれる清い流れは色めいてきて、春が天地にひろがってくる。玉なす壘と呼ばれるけわしい峯にたゆたう浮き雲が絶えず變わってゆく。そのすがたは流轉してやまない古今の世の移りゆくさまさながらではないか。しかし北極星のようにゆるぎのないわが朝廷は結局動かすことはできないのだ。西山のかなたの吐蕃の盗賊どもよ。不遜にもわが國土に侵入してくることをやめよ。しょせん無駄なこったよ。
あすこには蜀漢の先主昭烈皇帝の廟が見える。彼の不肖の子である後主劉禪も一緒に祭られている、丞相の緒葛孔明とご一緒にね。凡庸な君主の後主さえ正統の帝位を受けたものとして、ここで神に祭られることができたのは、まったく偉大な賢人諸葛孔明の餘德というほかはない。わたしは、その人が不退時代に愛唱したという、あの有名な梁甫吟の歌を思い出す。そして日が暮れかかる空のしたで、わたしはなにごころなく、「歩んで齊の城門を出で、遙に蕩陰の里を望む」と口ずさんでいた。
<End Translation>
<Formatted Translation>
この高樓の近くには花が咲きみだれているが、それがかえって、さすらいびとわ しの心をいたましめる。
天下いたるところ騒亂にわずらわされている今日、自分はここに登って四方を眺めているのだ。
錦の川と呼ばれる清い流れは色めいてきて、春が天地にひろがってくる。
玉なす壘と呼ばれるけわしい峯にたゆたう浮き雲が絶えず變わってゆく。そのすがたは流轉してやまない古今の世の移りゆくさまさながらではないか。
しかし北極星のようにゆるぎのないわが朝廷は結局動かすことはできないのだ。
西山のかなたの吐蕃の盗賊どもよ。不遜にもわが國土に侵入してくることをやめよ。しょせん無駄なこったよ。
あすこには蜀漢の先主昭烈皇帝の廟が見える。彼の不肖の子である後主劉禪も一緒に祭られている、丞相の緒葛孔明とご一緒にね。凡庸な君主の後主さえ正統の帝位を受けたものとして、ここで神に祭られることができたのは、まったく偉大な賢人諸葛孔明の餘德というほかはない。わたしは、その人が不退時代に愛唱したという、あの有名な梁甫吟の歌を思い出す。
そして日が暮れかかる空のしたで、わたしはなにごころなく、「歩んで齊の城門を出で、遙に蕩陰の里を望む」と口ずさんでいた。
<End Formatted Translation>